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そう言う彼の横顔は微笑んでいるように見えた。
本当に私との結婚が楽しみだと思っているようにも見えてしまう。
区役所に着いた私たちは一緒に車を降り、そのまま中へと入った。
既に婚姻届は全て記入済みであとは提出するだけだ。
平日のためかそこまで待ち時間もなく私たちの婚姻届はあっという間に受理された。
思ったよりも呆気ない提出に拍子抜けだ。
婚姻届の受理は意外とこんな感じなんだと驚いた。
紙の提出だと分かってはいたが、受理された直後にも関わらず実感が全く湧かない。
「私たち、結婚したんだ⋯⋯」
「そうだな」
「全然実感湧かない」
「───心春」
(えっ⋯⋯!)
いきなり名前を呼ばれ思わず目を見開き東雲くんの顔を見つめる。
突然、下の名前を呼ぶなんてずるい。
私の名前を愛おしそうに呼び見つめるその視線がくすぐったい。
誰かがこの立場に本来いるはずなのに、と思うと未来の本当の奥さんに申し訳ない気持ちにもなる。
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