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それを見た途端、一気に夫婦になった実感が湧いてきた。
婚姻届出し、戸籍上でも私は遂に東雲伊織という男の妻になったんだ。
「実感、湧いたか?」
「伊織くんが指輪してるとこ見たら、なんか実感湧いてきた」
「そうか。それは良かった」
「ありがとう。こんなに素敵な結婚指輪買ってくれて」
「いや、俺こそ礼を言わないとだな」
運転しながらのためこちらを彼が向くことはないが、その横顔からでも分かるくらい彼はにこやかに微笑んでいる。
あの、無口で無愛想の東雲くんがこんなふうに笑うなんて知らなかった。
「ありがとな。無謀な俺の提案に乗ってくれて」
「ううん、私こそ。ありがとうその⋯⋯いろいろ」
「いいんだ。家には心春の部屋も準備してる、余ってた部屋があったからな。あとこれは確認だが⋯⋯」
伊織くんの家にはパッと見ただけでも6つの扉があった。
あの家の広さからすると扉の向こうには部屋があってさらに扉を挟んで部屋があってもおかしくない広さだ。
「寝室はどうする?別にするか?」
「えっ」
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