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「一緒に寝ようかな⋯なんかお泊まりみたいだね」
少しだけの恥ずかしさをはぐらかすようにいつもより元気に声を上げる。
そんな変なことを考える私の方が不純なだけだ。
「そう思えたら楽だけどな」
「ん?どういうこと?」
「なんでもない」
伊織くんの返答の意味が私は分からなかったが、それ以上話す気がないのか彼は黙り込んだため私も深入りするのはやめた。
「これから夫婦として、俺の妻として、よろしくな心春」
「こちらこそ。よろしくね伊織くん」
こうして私たちの契約結婚は無事成立し正式に夫婦としての人生をスタートさせた。
東雲心春としての生活が始まるんだ。
左手の薬指にかかる重みが結婚を実感させてくれた。
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