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少しだけ掠れた声で名前を呼ばれ一瞬ドキッとする。
昨日のことが全部夢じゃなかったと、彼と結婚したことは現実だったんだと悟った。
「朝食準備したんだけど、食べる?」
「わざわざ準備してくれたのか?」
「うん。きっと伊織くん朝から忙しいでしょ?ちゃんと食べないと身体によくないよ」
「⋯⋯ありがとう」
少しだけ驚いたように目を見開いたように見えたがすぐにいつもの表情に戻り、ダイニングテーブルに腰をかけた。
準備していたトーストとスクランブルエッグの乗ったお皿を彼の前に起き、最後に注ぎたてのコーヒーを準備する。
(今の会話ものすごく夫婦っぽかった⋯自分で言っておいて恥ずかしい⋯⋯)
いただきます、と言って私が焼いたトーストを頬張りさらにはスクランブルエッグをスプーンですくった。
私も自分の朝食を準備したため、彼の向かい側の椅子に座り静かにいただく。
どんな顔をして食べてくれるのかチラチラと様子を伺っているとそれに気づいた伊織くんとバチッと目が合う。
いつかの出会いを思い出す光景にデジャブを感じだ。
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