27歳、先行き真っ暗

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加賀美冬麻(かがみとうま)は20歳で私とは少し年の離れた可愛い弟だ。 臨床検査技師になるため日々大学に通い頑張る自慢の弟だった。 『先月バイト代結構入ったから姉ちゃんの口座に入れておいたよ』 「いつも言ってるでしょ?バイト代は何かあった時のためとか、交友関係に使いなさいって」 『その分もちゃんと残してあるから大丈夫だって!』 冬麻は昼は大学で勉強しながら生活費を少しでも稼ぎたいと言って夜は居酒屋でバイトをしている。 きっと私に気を使って少しでも大学の学費を自分で払おうとしてくれているんだと思う。 人のことを大切に思える優しい弟のため、言わないだけでもしかしたら罪悪感を感じさせているのかもしれない。 それでも私は冬麻に好きなことをしてほしかった。 『俺が入れておいたやつ、学費に使ってよ』 「⋯本当に生活は大丈夫なの?」 『学生寮だし大丈夫。めちゃくちゃ使うこともないし、困ってないよ』 冬麻はアルバイトで貯めたお金に余裕がある月はこうして私の口座に入金してくれていた。 主に私が学費を出し、こうして冬麻が入れてくれるお金もたまに充てている。
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