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「心春は料理がうまいんだな」
「え、そうかな?」
「すごく美味しい」
ただ卵を焼いただけの朝食だというのに、伊織くんはまるでホテルの高級な朝食を食べているかのように嬉しそうに食べてくれる。
いつもは1人で食べていたし作るのも自分のためだったものが、こうして感想を言ってもらえるのがこんなに嬉しいなんて思わなかった。
それに最近少しだけ思う。
もしかしたら伊織くんは本当は無愛想なんかじゃないのでは、と。
私の前では結構笑ってくれるし表情も分かりやすい。
高校のイメージよりも話しかけやすいとさえ思う。
(今も、私が作った朝食を嬉しそうに食べてくれているし)
「そうだ、伊織くん。私たちの結婚のこと、会社の人たちにはどうする?」
「そうだな⋯⋯心春のとこに翔がいるよな?あいつには多分すぐバレる」
「そうだよね、仲良いもんね2人は」
「だからあいつには変に隠さない方がいいと思う」
そもそも私が突然結婚指輪を着けて出社すれば、絶対にすぐ気づかれる。
なんなら同じチームだし過ごす時間が長い尚くんや雛菊ちゃんにもすぐバレそうだ。
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