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しばらく尚くんと話しているとバタバタと足早に私たちの席に向かってくる翔くんの姿が見える。
血相を変えて走ってくる姿に何があったんだと不思議に思うが、そんな彼は私の目の前で止まった。
「ちょっといいかな?!心春ちゃん」
「え、うん」
ドリンクバーでお互いジンジャエールを準備し、ディスカッションスペースに移動してきた。
まだこのフロアにいる人たちはまばらで、順番に出勤し始めているくらいだ。
足の長いテーブルの前の椅子に腰をかけ、興奮する感情を抑えるように翔くんはジンジャエールを一気飲みした。
そんなに勢いよく炭酸を飲んで大丈夫だろうか。
「どうしたの?」
「あのね、それはね俺のセリフなんだけど!」
そう言って翔くんは私にメッセージのやりとり画面を見せてきた。
差出人は伊織くんのようで、そこに書かれていたのはなんとも淡白に"心春と結婚した"とだけ送られてきている。
(いくらなんでも簡潔すぎない?!もっと普通に説明するでしょ)
そんなんじゃ誰にも伝わらないし、突然送られた翔くんからしたら意味が分からないに決まってる。
文章まで無愛想なのはどうかと思うが、伊織くんらしいと言えばらしい。
だけどこの動揺と興奮はこのメッセージを見たからか、と納得した。
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