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「ちょっとこれどういうこと?結婚したって⋯⋯」
翔くんはチラッと私の薬指を見るとそこに結婚指輪が通されていたことに確信を得たのか目を見開き硬直している。
自分の頭の中で状況を理解しようとしているようだ。
「したんだ、結婚」
「うん、したんだよね、結婚」
「ちょっと待って、冷静に状況を飲み込むから時間ちょうだい」
そう言って立ち上がった翔くんはもう一度ドリンクバーに向かい、空になった紙コップにジンジャエールを注いでいた。
こんなにテンパってる姿を見たのは高校時代も含めて初めてでなんだか新鮮だ。
だけど突然親友の結婚を知れば誰だってそうなるだろう。
(私も寧々ちゃんに伝えたらなんて言われるかな⋯詳しく教えて!って食い気味で聞かれそうだ)
「あの、まず付き合ってたわけ?」
「いや、付き合ってはない、かな?」
「いきなり結婚したってこと?」
「そういうことかな⋯」
「どんな手使って心春ちゃんを⋯⋯」
「ん?」
なんでもない、と言って再び思考の海に沈んでいく翔くん。
どうして私が翔くんに説明する役割を担わないといけないのか。
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