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絶対それは親友である伊織くんの役割だと思うんだけど。
私自身どこまで答えればいいのかも判断が難しい。
「無理やりとかじゃ、ないよね?」
「それだけは違うよ。ちゃんと私も受け入れてるから」
「ならいいんだ。その⋯あいつ⋯⋯」
「ん?」
「⋯⋯いや、なんでもない」
歯切れの悪い言い方に微かな違和感を感じる。
何か言いたいことがあるような、でも言えないような、複雑な表情を浮かべている気がした。
「なんか理由のある結婚?」
「うん⋯⋯」
「それは心春ちゃんから聞くべきじゃないと思うから、伊織から直接聞くことにするわ」
「そうだと嬉しい」
私たちの結婚の真実を知ったら翔くんはどう思うだろう。
幻滅されてもおかしくないだろうし、知られることを不安に感じないわけではない。
だけど隠し通すことが難しいことも分かっているため少し複雑だ。
私のそんな気持ちが表情に出ていたのを察したのか翔くんは場を和ませるようにニコッと微笑んでくれる。
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