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男 二人の 攻防戦
「 もう夜 ? 最近夜が来るの早いな 」
気がつけば 、 辺りはすッかりと宵闇に包まれている 。 だが 、 それでもまるで彼の為に作られた仮想空間かとさえ思う程似つかわしい 。
ふと空を見上げると 、 彼の頬を優しく夜風が撫でる 。
鬱陶しそうに顔を歪めるが 、 それもほんの一瞬 。 涼し気な表情へと一転した 。
時刻は午後11時 。 とッくに皆就寝の時間に入ッているのだが 、 先程上記を呟いた __ シャルロット ・ ニージェアという名の青年がオルカ寮周辺をふらふらと散歩していた 。 眠れないのもあるが 、 違う用事も含まれているらしい 。
「 う〜ン 、 おかしいな ? ここら辺にある筈なンだけど 、 」
彼は何かの素材を探しているようだ 。流石はオルカ 、 研究熱心である 。 彼は何かの魔法薬でも作りたいのだろう 。
暫く探してみるも 、 それらしきものは全く見つからなかッた 。 少しだけ残念に思うも 、 それよりも懸念すべき事を今思い出した 。
そう 、 それは 。
「 シャル 〜 !! 君 、 今まで何処に居たンだい !? 心配したンだヨ !! 」
藍色の髪に禍々しくも綺麗な明るい紫色の瞳 。 彼と同じオルカのローブを身につけた青年が 、 シャルロットの元へ全速力で駆け出してきている 。 とは 言え 、 その青年は体力があまりあるとは言えないのだろう 。 少し遅めに見えるのは彼だけでは無い筈だ 。
「 げッ … レフォン 、 なンで君が此処に居る訳 ? 俺 言ッてないけど 」
シャルロットがそう尋ねれば 、 紫色の瞳の青年 __ レフォン ・ ベットダイスが不満気な顔をして文句を言い始めた 。
「 この時間になッてもぜーんぜん帰ッて来ないんだから心配するに 決まッてるだろう … でも 、 無事なら良かッた ! ほら 、 さッさと部屋に戻ろう 」
途中までは文句だッたのだが … 彼も強くは言えないらしい 。 最後には労いの言葉を投げかけ 、 シャルロットを掴んではずるずると引きずり始めた 。 シャルロットへの扱いが少々荒いのは 、 レフォンの完全無意識での行動なので仕方ない 。
「 おい ! 俺 、 まだする事あんの … 離せよ ! 無駄に力強いな !! 」
力が強い訳では無い 。 力の入れ方が少し上手いだけである 。 怒り気味のシャルロットをガン無視し 、 レフォンは自室である777号室へと辿り着いた 。 7がずッと続くのは 、 きッとラッキー体質なレフォンのせいだろう 。
自室のドアをバンッ 、 と開けては 、 レフォンはシャルロットを無理やりベッドへと押し込む 。 早く寝なさい 、 と言わんばかりの目を 彼に向けた 。 そりゃそうだ 。 11時にもなッて外をほッつき歩いている友人を放置する訳にはいかないだろう 。
結局 、 そのまま二人は地獄の攻防戦を繰り広げて爆睡した 。
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