朝の話 2

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朝の話 2

同時刻 。 とある魔法界の秘境とも言える場所で 、 一人の女性が足音も立てず 、 誰も居ない涼し気な森の 奥を歩いていた 。 「 … ふぅ 、 流石に 誰にも 見つからないような 場所とはいえ … 森の奥では 紛らわしいわね 」 肩にかかッた美しい銀色の髪を靡かせ 、 左目に金色のモノクルを付けた翡翠色の瞳を揺らしながら歩いている女性は 、 魔法局禁書管理局の局員を務めていた 。 今日はとある理由で仕事を休み 、 この森の奥まで訪れていたのである 。 仕事を休んでまで彼女は何をしたいのだろうか 。 「  " ディスクロズ "  」 彼女が杖を片手に持ちそう唱えると 、 何処からともなく頑丈そうな大きいガラスの扉が現れた 。 彼女はその美しさと壮大さを見慣れたかのように一瞥し 、 右手を添えて軽く押す 。 意外にもドアは簡単に開き 、 彼女が扉の中へと足を踏み入れれば 、 その数秒後に彼女の通ッた 景色は何の変哲も無い森へと綺麗に戻ッた 。 彼女が見た光景は 、 大きな … いや 、 大きいだけでは表せない程広い神殿 。 だが 、 これも彼女にとッては見慣れたもの 。 表情すら変えず歩を進め 、 神殿に堂々と侵入しては長い道を歩く 。 いつまで歩いても変わらない純白の景色に 、 もう少し変わり映えが欲しいな … とも思ッたが 、 此処は自身の居住地では無い 。 なので先程の思考を消し去り 、 そして一つの壁に辿り着いた 。 何も無い 、 ただ真ッ白な壁 。 女はそれらを一瞥した後 、 " ディスクロズ " ともう一度 唱えた 。 すると 、 今度は金と銀で飾られた 扉 。 それを女は数秒見つめる 。 「  入りなさい  」 と 、 いきなり中から声が聞こえた 。 女は立ッているだけで認識できるのか … と考えるも 、 素直に 「  失礼します  」 と一言 。 扉に触れ 、 中へと入る 。 「 私だけを呼び出したのには何か理由があるのですか ? 天帝様 」 天帝様 、 と呼ばれた女性は微笑みながら振り返る 。 その仕草すら優雅であり 、 誰も寄せ付けない神秘さを感じるのは皆同じだろう 。 「 シフティ 、 天帝様などと呼ぶのは今はよして ? 私は貴女の一人の母として呼び出したのですから 」 そう述べては 、 銀髪の女性をシフティと呼ぶ 。 呼ばれた本人 ___ シフト ・ R ・ シェルティーはその一言を聞いて 、 少しだけ肩の力を抜いたようだ 。 「 ではお母様 、 何故私のみを此処へと呼び出したのですか ? 」 「 よく聞いてくれたわ 。 ここ最近 、 帝国に怪しい影が潜ンでいる 。 貴女なら理解出来るだろうと思ッて 」 「 怪しい影 … と言いますと 、 何処かで災いが起きると ? 」 シフトがお母様 ___ フォルトゥナ ・ コンフリクトの言葉に首を傾げる 。 帝国 、 其れはフォルトゥナ ・ コンフリクトの統べるコンフリクト帝国の事を指す 。 全ての技術において魔法界で一番発展しており 、 そして帝国に住む魔法使い全てが圧倒的強さを誇る者ばかりの国である 。 だが 、 先程シフトがやッたように誰にも見られぬよう隠されている為 、 誰も帝国という存在を知らない 。 「 その通り 。 災いを避ける為に貴女を呼び出したの 。 貴女なら力になッてくれると信じているから 」 フォルトゥナがシフトにそう告げると 、 引き受けてくれるだろう ? という目を向ける 。 シフトは断る事無く頷いた 。 この頃 、 レフォンがシャルロットの口にハンバーグを詰めている事だろう 。
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