0人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「それなら、今夜の配信は、人形に名前をつけてみる。
これでいきましょう、せっかくだから、みんなでつけよう!」
よかった、これで今夜の話題は持ちこたえる。
『花子』『エリザベス』『お嬢』『ジュリアーナ』『ビオラ』
『雪之丞』『アデリーテ』『セイレーン』『ふわりん子』『茶美』
「君たち、真面目か不真面目か、よくわからんわっ」
『瑠璃、瞳が瑠璃色だから』
「おっ?それ、いいね」
急にストンと、降りてきた感覚だった。
「はい、決まり、この人形の名前は瑠璃ちゃんです。
漢字がものすごく書きにくい瑠璃ね」
そのとき。
カツカツと、音がした。
「うわあっビックリした!」
配信中のアクシデントは初めてだった。
『ポルターガイスト』『ラップ音?』『なになに』『名前に怒った?』
『名前が気に入った返事だったりして』『本格的になってきた』
「いやいや、偶然ですって!」
『快人さん、名前が気に入ったなら二回、嫌なら一回って、聞いて』
「えええっ?る、瑠璃でオッケーですか?イエスなら二回......」
カツカツと、二回、音がした。
俺は半泣きの声で配信を終わらせた。
最初のコメントを投稿しよう!