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「はーい、どうもー『快人の怪と遭遇』始めまーす。
前回から番組の看板娘になった瑠璃ちゃんも一緒でーす。
どうです?帽子、伸びてるように見えます?よくわからんです」
本当は帽子の先にテープを貼って誤魔化している。
「でもねー、カツカツって音、この人形を我が家に招いてから、
けっこう頻繁に聞いてまして。
ガチでビビッてます。動くのは本当かも?」
『伸びてないじゃん』『一か月後には伸びてるかな』『カツカツ?』
『快人さーん、瑠璃ちゃーんって呼んでみて』
「瑠璃ちゃーん」
カツカツと、音がした。
「やめてー、ホントにもうやめてーっ」
『マジもんだ』『彼女がいて音を鳴らしてるでしょ』『あからさま』
『いやいや、心霊現象としては有り』『瑠璃ちゃん怖い』
こういう音だけでも、信じるか信じないか、半々だ。
これ以上は意見が割れないで欲しい。
怪異は本当なのに、ネット画面の向こうに怖さを伝えられない。
おかしな矛盾を抱え込み、それでも広げたいとは思わなかった。
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