IV

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*  前日に茹でたパスタが伸びてモチモチになったところでナポリタンにするらしい。数量限定メニューをありがたくいただくことにした。 (バーなのに美味しいじゃない) 「あのぉ、私同棲3ヶ月目なんですけどお。彼氏が遠くに異動になるみたいでえ。どうしたら良いと思います!?」  私が舌鼓を打っていると、先程タクミを撃退していた酔っ払いの女性から話しかけられた。かなり出来上がっている。 「どうって......」  そんなの、知らない。 「私、恋愛ヘタだから」 「えぇー! オネーサンそんな風に見えないのに!」  そういえば、生活がすれ違っていたからこの男には話していなかった。 「3年同棲した彼にフラれたの。私が悪いわけじゃないって、理由は教えてくれなかったけど」  タクミは先程彼女にやっていたように私の手に触れる。 「可哀想に。そんな男ほっといて俺と」 「触らないで」  私は容赦なくその手をはたき落とした。 「その辺の男に手を繋がれるのもそれ以上も虫唾が走るほど嫌なの」 「えっ、3年男と同棲してたんだよね?」 「そうだけど?」  私は困惑して手を引っ込めた。 「そういうのは結婚してから、でしょう?」
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