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V
昨夜は最悪だった。
仕事を終えた帰り道で散々だったことを振り返る。
“そりゃ捨てられて当然だよ”
“むしろお。よく3年も我慢してくれたねって感じ”
“俺、遊んでばっかりだったから、オネーサンの気持ち、わからないなぁ”
“私もわかんなあい”
(なんでヒモと破局寸前女に私の人生を全否定されないといけないのか)
挙句の果てに何故か三人分の支払いを持つ羽目になった。私と自分で酔い潰れた女とタクミ分だ。
“あ、俺一文なしなの。支払いはお願い♡”
(今日で追い出してやる)
別れてから考えると元カレは悪い奴ではなかったんだと思う。
お金の面で不自由なことはなかったし、私が嫌なことは絶対にしなかった。私に興味がなかっただけかもしれないけれど。判断が致命的に遅かっただけかもしれないけれど。
(間違え、た)
そんなことを考えていたら、いつの間にか元彼のアパートの前に居た。いつもよりかなり早い時間に電気が点いている。
「もう、女が居るのかな」
(あぁ、そうだよね)
努力が出来る男だった。
見た目だけがコンプレックスだったみたいだけれど、その分仕事は完璧にこなしていた。
私のことは愛せなかったのに、他の女は愛せそうなんて思っているんだろうか。
だったら、悔しい。
気がつくと、涙を流していた。
「何してんの」
「勇登......」
声をかけて来たのは元彼だった。
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