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手のひらをくるっと返したように冷笑してくる。これが私が結婚しようとした相手なのだろうか。
「ほら、早く」
男は私ににじりよる。無理やり手を引っ張ろうとする。
(怖い)
私は今まで運が良かっただけなのだ。私に危害を加えない兎やリスのような男ばかりを相手にしていた。楽園から出れば肉食獣が居ることをすっかり忘れていた。
(助けて)
私がギュッと目を瞑ると、反対側の手を握られていた。不思議と、嫌だとは思わなかった。
「滞在期間、延ばして正解だったでしょ?」
「タクミーー」
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