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I
『友梨さんは一人で抱え込んで頑張りすぎるところがあるから、肩の力抜いて。困ったときは頼ってくれて良いからさ』
あ、これは夢だ。懐かしい思い出。
私と彼の人生の線が同じフレームに入ったときの思い出だ。
学生の頃、数日間の介護ボランティアで会った男に優しい言葉を掛けられた。
同じ芦田の苗字の人が居て、差別化のために私はいつもスタートから下の名前で呼ばれていた。
『友梨さんは凄いよな。利用者さんからも評判いいし』
少しだけ、キュンとした。
対して顔が良いわけでもない。背だって高くない。でも、気遣いはできる男だった。
彼には好きな子が居たけれど、叶う見込みはないって同じ学校の人が言っていた。一途なのに全く見向きもされないんだって。
線は伸びていく。徐々に私達の距離を近づけて。
数年後に偶然再会した彼はまだ叶わぬ片思いの最中らしい。
だから、私が貰ってあげることにしたのだ。
「好きです。付き合ってください」
彼の何か好きかって? それは将来性と人格。真面目そうで間違いないと思ったから。
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