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II
「おはようございます」
◾︎◾︎病院はこの街で一番大きな病院だ。
看護師の私は舐められないように胸を張って病棟をまわる。
私が担当している中で気になっている男性がいる。最近病室を変えたばかりの彫りの深い男。子供を庇って交通事故に遭って、この一年目覚める気配はない男。
(綺麗な人。もしかしたらこんな男と結婚する人生だってあったかもしれない)
私は毎日、この美しい男の顔を眺めることから一日を始める。
持ち物や勤め先から高給取りなことが伺える。
顔が良くて、収入があって、性格も多分いいはず。こんな男に愛を囁かれたならば、どんなに幸せだっただろうか。
人生の直線はどんなことから人を交わらせるかわからない。もしかすると、こうして健気に看病するところから線と線は近づいているのかもしれない。
(? パスタ大全?)
そういえば、面会に来ていた男女が趣味は料理だと言っていた。結婚相手が料理好きだと、休日にご飯なんか作ってもらえるのだろうか。
(なんて、馬鹿なこと)
目覚めない男ばかり見ている訳にはいかない。私は早く、結婚をする必要があるのだ。
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