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「眩しい。それ消して」と誰かが言った。
「す、すみません……」慌てて照明部分を手で覆い、ライトを消した。
「携帯電話の電池も勿体ないしね、温存しておこう」とオジサン。
「さ、少し隙間風がうるさいけど、みんなで一緒にいれば大丈夫。寂しくないよ」
部屋の中は濡れていないようだったので、私はスキーブーツを脱ぎ、足を解放させた。
そしてほぼ暗闇の中、部屋の中央へ誘導された。
誰かに軽くぶつかってしまったので「あ、すみません。お邪魔します」と断った。
ぼんやりとしかわからないけど、女性や子供もいたので安心した。
「あんた、何て名前なの」と真横からお母さんくらいの年齢の声。
「柳川涼奈です」
「すずちゃんか。アタシは多香子。よろしくね」
「よろしくお願いします……」
確かに隙間風がピューピューうるさく、寒い。
こんなに沢山の人が集まっていても、暖かくならないものなんだな。
ぶるるっと身震いした。
「さぁ、さぁ。このままではすずちゃんが凍えちゃう。朝まで寝ないためにも、恒例のアレでもしますか!」と多香子さん。
アレ?アレとは何なんだろう。
しかも、恒例ってどういうこと?
「すずちゃん、スクエアって知っている?ちょっとした運動なんだけど」
知っているも何も……雪山+遭難+山小屋+ホラーの定番では!?
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