山小屋

4/11
前へ
/11ページ
次へ
 スクエア(もしくは『山小屋の4人+X』)の話は、おじいちゃんが私を怖がらせようとして以前話してくれた。  雪山で遭難した4人が山小屋に到着した。  彼らは寒さを凌ぐことと夜明けまで眠らないようにと、軽い運動をすることにした。  しかし、山小屋の中は真っ暗。下手をすれば怪我をしてしまう。  4人はそれぞれ部屋の隅に移動し、壁伝いに順番に時計回りに歩くことにした。  1人目が次の隅にいる人をタッチし、タッチされた2人目が次の隅を目指す。  2人目が次の隅にいる人をタッチし、タッチされた3人目が次の隅を目指す。  3人目が次の隅にいる人をタッチし、タッチされた4人目が次の隅を目指す。  4人目が次の隅にいる人をタッチし、タッチされた1人目が次の隅を目指す。  そうすることで、お互いの生存確認にもなると思ったのだろう。  彼らはひたすらぐるぐる回り続け、無事に夜明けを迎えた。  しかし下山してから考えると、おかしい事に気がついた。  4人目が次の隅に到着した際、1人目はそこにいないはずなのだ。一番初めに次の隅へ向かっているからだ。  4人目は余分に歩いたりはしていないし、確かに誰かがいたと言う。  つまり、この暗闇の中に5人目がいたことになる。  この5人目のおかげで彼ら4人は救われた……という、ホラーだけど深イイ話。  なんだけど……27人でスクエアをするの?
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加