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「きゃはは、私の時は誰もタッチしてくれなくて、そのまま凍えちゃったんですけど~」と誰かが言った。
は?
「俺なんか、どこまで行っても部屋の隅に辿り着かなかったなぁ」
どういうこと?
「あたし、皆でしたくないなぁ。歩いていたら、沢山の人が追い抜いて行って怖かったんだもの」と、子供の声。
「ワシは途中コケてしまっての、壁がどこにあるのかわからんなったわい」と豪快に笑う、おじいさんらしき声。
「それで結局誰一人欠けることなく、26人も集まっちゃったんだよね」と多香子さん。
え?欠けるって、どういう意味?
私の不安をよそに、皆が笑う、笑う、笑う。
「今回はひとりずつ行く?4隅一斉に動く?」
「人数多いから、一斉でいいんじゃない?」
「考えたんだけどさ、4隅でそれぞれ1列に並んで後ろの人がタッチされたら前の人に合図して、先頭の人が進めば良くないかい?」
「成程、それなら全員いきわたるねぇ」
「自分の後ろに何がいるのか、わからないけどねぇ」
「自分の番がいつ来るのかわからないけどね」
「途中でも何があるかはわからないけどねぇ」
『何が』って何!?
何が可笑しいのか、皆が笑う、笑う、笑う。
「さぁ、27人目のすずちゃんを含めて、始めようか」
「ちょっと待ってーーーー!!!」
何か変だと感じた私は、スクエアの開始をとりあえず阻止した。
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