山小屋

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「どうしたの、すずちゃん」 「私……っ、足を捻っていて、歩けなくて……出来れば別の何かが良いかな、って…ダメでしょうか」  一瞬にして部屋の空気が冷たくなった。  実際、隙間風で室温は下がっているのだが……。 「他のって、何があるの?」 「すずちゃんの為に皆で頑張るのに」 「さぁ、どうするの」 「どうするの」 「動かないと凍えちゃって死んじゃうよ」 「暗闇で迷子になっても死んじゃうけどね」 「何するの」 「どうするの、どうするの」 「眠っちゃったら死んじゃうよ」 「足が痛いの、眠っちゃえばわからないよ」 「そうしたら、すずちゃんも仲間入り」 「さぁ、どうするの」 「どうするの」 「何するの」 「どうするの、どうするの」  暗闇からまくし立てるように言われ、焦るあまり思考が停止する。  いや、ここで折れてしまってはいけない、それだけはわかる。  何かある?  歩かなくても、27人が身体を疲れない程度に温めて、眠気が覚めるようなものは……。  何か、何か……。 「あ……カラオケ」  ふと、このスキー場に来るまでに車内で、皆で大熱唱して「暑い!」と言っていた事を思い出した。 「カラオケって、なぁに?」と子供の声。 「お歌を歌うのよ。ひとりでも、みんなで歌ってもいいの。歌わない人は手拍子をするの。歌い終わったら拍手をするのよ」と、私。 「良いねぇ、カラオケ!私もよく喫茶店で歌ったわ。よし、私から歌うわ!皆、手拍子お願いね!」と多香子さんが真っ先に名乗りを上げてくれた。 「1番、多香子歌います!曲は聖子ちゃんのヒット曲……!」
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