山小屋

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「アタシ、これでも大学でコーラス部だったの。2曲目は第九を歌っていい?」と女性の声。  歌詞がドイツ語で何を言っているのかわからなかったけど、その力強い見事な歌声に、心が洗われるようだった。 「聞いてくれてありがとう。久しぶりに思い切り歌えて気持ちが良かった。やっぱり歌う事は良いね」 「素敵でした!山小屋でこれほど素敵な歌を聞けるなんて、得した気分です!」と、私は拍手を送る。 「へへっ、ありがとう。私、先に行くね」と女性の声。 「行くってどこに……」  それっきり、その女性の声がしなくなった。 「さぁさぁ、次はだれが歌う!?」と多香子さん。 「俺!ウォークマンでずっとコレ聞きながらスキーを滑っていていたんだ!」  そう前置きした男性は色々な曲の替え歌メドレーを歌い出し、皆を笑わせた。元となる曲自体はわからなくても、歌詞が面白くて大笑いしてしまう。 「はい、次はすずちゃんね!」と再び私の番が回ってきた。  それならばとスキー場で定番の、冬の女王と謳われるアーティストの曲を熱唱する。 「CMで流れてやつだ!」と誰かが言った。  ん?この曲、随分古い曲ですけど……。  何のCMだろう、私が知らないだけかな。  それから何人かが歌った後、 「さぁ、次は3曲目に突入だね!夜明けも近いよ、頑張ろう!」と多香子さん。  あれ?さっき、27人も歌った?
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