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へらへらと笑うラオーネだが、浮かれた様子が少しだけ可愛らしく見えて、苦笑しながらソフィは手を取る。
「…全く。あなたは遊びかも知れないけれど、私は真剣なのよ?」
ラオーネに手を引かれ、ソフィは馬車を降りていた。
「オレも真剣なんだけどなぁ。
たくさん店もあるねー!宿屋行く前に途中でご飯にする?それとも宿屋でご飯にする?」
少年のように目を輝かせるラオーネ。
「ご飯を食べるのが好きなの?」
「馬鹿にしてる?ご飯は元気の源だよ。
食べないと死ぬよ?って事で、あそこの店から良い匂いがしてきたよ!」
気づくと引かれていた手、ソフィの体までラオーネの調子で持っていかれる。
「ちょっと、ラオーネ、落ち着いて。
ご飯は逃げないわ。」
振り向いたラオーネは、ソフィを見つめて、気恥ずかしそうに頬を赤くした。
「あッ、ごめん。手、繋いだままだった。
浮かれ過ぎだなぁ、オレ。」
そうは言いつつ離れない手。
ソフィは首を傾げていた。
「これ二つ下さい。」
串に刺さる謎の物体。肉だろうか。
ラオーネが店主から受け取り、一本をソフィに差し出してくる。そこでようやく手が離れていた。
「はい。あげる。」
「あ、ありがとう。…でも、良いの?」
「お腹、空いてないの?」
その時、ソフィの腹が鳴った。
ソフィは思わず目を伏せて顔を赤くしていた。
「…空いていたみたい。」
「ほら~。…あ、もしかして食べさせて欲しかった?配慮がない男でごめん。
はい、ソフィ、あーん。」
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