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嬉しそうに微笑みながら差し出される串を、ソフィは戸惑いつつ、一口食べる。
美味しかったが、ひたすら恥ずかしかった。
「美味しくなかった?」
ラオーネは小首を傾げ、不思議そうに問う。
「お、美味しいけれど…ッ!
こういうの、周りからどう思われてるか気になって、味があまりしないのよ…!」
赤面しつつ呟くソフィ。
ラオーネは意地が悪い微笑みを浮かべていた。
「そりゃ~もちろん、恋人同士にしか見えないんじゃないー?」
「なんであなたはむしろ嬉しそうなの…?」
「え~?」
ラオーネはニコニコヘラヘラと楽しそうに笑った。
最初はラオーネを異様な雰囲気の人物だと思っていた。
思いの外、子供っぽくて、無邪気な人物だとソフィは思った。
たまに何を考えているのかわからないところもあるが。
長年の夢とは、目指したい何かでもあるのだろうか。と、ソフィは軽く考えていた。
その後、宿屋に到着したソフィとラオーネ。
「おや、カップルかい?それとも若夫婦かな?」
「はい!もちろん夫婦で」
「ただの友達です!二部屋お願いします!」
はっきりとソフィが言うと、ラオーネが何か言いたげに見てくるが、ソフィは無視していた。
「はは、友達か!ほら、鍵二つな!」
「なんで二部屋にしたの?夫婦って言っておけば、せっかく一部屋浮いたのに。」
こそこそと耳打ちしてくるラオーネ。
「あなたが何してくるかわからなくて怖いからよ。」
ソフィはジト、とした眼差しを向けてラオーネをあしらう。
「え~信用されてないなぁ。もう、オレ達、結構深い関係なのに。」
「深くないわよ!?言っておくけれど、私、あなたの事、それほど知らないわよ!?」
「じゃあ、オレのコトを教えたら、一部屋にしてくれた?」
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