ヌール王国

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 ラオーネが声をかけていたのは、怪しい風体の輩だった。『(おさ)』とはいったい。  「やるよぉ。まさか、ここに来て(ひる)んでる?まあ、当然か。 闇ギルドの長にまでなって、王国中枢にいる魔族と癒着(ゆちゃく)した宰相(さいしょう)達を殺そうと考えるなんて、普通じゃない。 …無理しなくて良い。オレの目的を、闇ギルドの皆に手伝わせてるだけだから。」  何を言っているのか。 ソフィを前にしていた時は無邪気だったラオーネは、無機質に遠くを見つめ、自嘲(じちょう)じみた笑みを(こぼ)していた。  「(おさ)がやると言ったからには、俺達はどこまでもついていきます。 正規ギルドから追い出され、行くあてがなかった俺や、他の者達はラオーネさんに拾われた。 …闇ギルドを率いているのは、他でもない、あなたですから。他の者達もきっと同じ気持ちです。 作戦の時には、合図してください。」  闇ギルド、正規のギルドにはいられない、何らかの事情を抱えたはみ出し者が集まる場。 それらを、ラオーネがまとめていると言うのか。  「ありがと。…オレは皆から慕われるような存在でも、何でもないんだけどなぁ…。 気持ちはありがたいけど、最終確認がまだでね。 それが終わったら連絡するよ。」  そこまでラオーネが言った時、ソフィもいるこちらへ引き返してくる気配を感じた。 ソフィは咄嗟(とっさ)にその場から駆けて、立ち去っていた。
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