フィデリス

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 ラオーネはソフィに触れようとして、直前で手が引っ込む。  「…!ごめん…オレに触られたり、距離感おかしかったのが、もしかして嫌だった…? 嫌なところがあったら直すから。 …ソフィが、急に居なくなるから、ずっと心配だったんだよ。」 ラオーネの態度を見ていると、わからなくなってくる。  「急に居なくなったのは、悪かったと思ってるわ。それと、勝手に尾行したのも。 …でも私は、あなたが話しているのを聞いてしまったの。あの話は何だったの? 宰相(さいしょう)達を殺すって言うのは。」 ラオーネは驚いたように目を見開いていた。  「…聞かれちゃってたんだ。 悪いけど、いくらソフィでもその話は出来ない。」 ラオーネは目を伏せて、はっきりと言う。  「私、あなたの考えてる事が読めないの。 その話を聞いて、あなたは何かを(たくら)んでるって。 巻き込まれたくないとも正直思った。」  「そうだね。…確かにオレもソフィの事は巻き込みたくない。 王国に着いたら、それぞれの目的の為に別行動を取るのが一番なんだと思う。 その予定でそもそも、オレ達一緒に行動してたもんね。 …オレもソフィには幸せになって欲しいし、キミの幸せを(おびや)かす事はしないから。」  背を向け、居なくなろうとしたラオーネの腕を、ソフィは咄嗟(とっさ)に掴んでいた。  「勝手に話を終わらせた気にしないで。 私はあなたを放っておけなくなった。 何を考えているのか、どうしてあんな事をしようとしているのか、私に教えて。 お願い。これ以上はぐらかさないで。 フィデリス。」
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