フィデリス

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 「話は理解したわ。…あなたが大変な思いをしてきたのも。」    かつてフィデリスが嵐の日にソフィの家に来た時、母を殺された直後だったのだろう。 きっとそれから、茨の道だった事が想像出来る。  「魔王は英雄三人によって倒された。 その後、王宮内の雰囲気は変わったと聞いたわ。 英雄の一人が王子で、今はその王子が王を支えて補佐してるとも。」  「あまり詳しくはわかってないけど、オレもそれは噂で聞いてる。だから確認の為に、王宮に行こうと思ってるんだ。 魔族と繋がりを持っていた宰相(さいしょう)一派は、どうなったのか…。」    「そう。闇ギルドを使って犯罪行為をするのは許せないけれど、それくらいなら良いんじゃない?」  「闇ギルドを使うのは、オレのエゴだけど、ソフィは嫌…?」  「そうね。手段だとしても、私は嫌だと思う。」  「…そうだね、確かに闇ギルドの者を巻き込むのは違うかもしれない。 これはオレの復讐だから。…ソフィが嫌なら、それはやめる。別の手段を考えるよ。」 ソフィは安堵(あんど)していた。  かつては王子だったフィデリスに、人としての一線を越えて欲しくないと、ソフィは己のエゴで思った。  「あなたが王宮に行くなら、私もついていく。」  「そこまでする?」  「ええ。ラオーネ…それともフィデリス? あなたを放っておけなくなったの。」
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