16人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「だとしても、お世話になってるのは事実だから文句は言えないわ。
…私の事は良い。それよりあなたはどうして倒れていたの?」
「ワケアリだから。さっき、そう言ったはずだけどー?」
「私の事情を聞いたのだから、そっちも本当にの事を言うべきじゃない?
こういう言い方は嫌いだけれど、私が治療をしなければ、あなたは今頃死んでたわ。」
ソフィは緑の瞳を捉え、言っていた。
柔和そうに見える顔立ちに反した、不敵な表情と纏う気配は、はっきり言って異様だ。
品があるが、風貌は旅人さながらに薄汚れ、危うく、ワケアリ感が漂う。
青年は何か抱え、隠している。
ソフィの言葉に、青年は目を細めて笑みを溢した。
「そーいうの、嫌いじゃないよ。
確かに恩人だからね~、キミには話してあげても良いかも。
オレはラオーネ。目的があってねー、遠くから旅してきたんだ。」
「目的って?」
「秘密~。」
「ちょっと、馬鹿にしてるの?」
「あは、どう思う?」
へらへらと笑うラオーネに、腹立たしさを抱いてくる。
「答えないならもう良いわ。怪我は動けないほどではないでしょう。そろそろ出ていって。」
「え~?もう少しゆっくりさせてくれても」
ソフィはラオーネの背中を押して、締め出していた。
「うわーん、ソフィがオレをいじめる~。」
ふざけた声が聞こえてくる。
さすがに少し可哀想な事をしたかとも思うが、軽薄野郎なので、まあ良いか。とソフィは思った。
最初のコメントを投稿しよう!