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歌には、香りがある。
軽やかに弾む心地よいメロディーが、
あの日、一緒に散歩した桜並木の香りを思い出させる。
歌には、色がある。
力強く響くドラムの音が、
あの日、一緒に出かけた海の鮮やかなコバルトブルーを思い出させる。
歌には、味がある。
しっとりと流れるベース音が、
あの日、一緒に食べたモンブランのほのかな甘さを思い出させる。
そして歌には、音がある。
透明感のある美しい歌声が、
大好きな人と一緒にいる時の私の胸の高鳴りを思い出させる。
歌には五感がある。
私はこの曲を聴くたび、あの頃の自分と再会するのだ。
大好きな人と聴いた、大好きな曲。
結局、私の願いは叶わなかったけど、
この曲だけはいつまでも心の中に響いている。
やっぱり嫌いになんてなれない。
晴れた日曜の朝。
リビングの窓から心地よい風がすーっと入ってくる。
私は今日もまた、大好きなこの曲を小さく口ずさむ。
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