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童話の国の住人
ここは童話の国である。もちろん子供が読む物語の、あの童話である。
もっと詳しく言うと童話国ペロー地方シンデレラ町である。
本来「シンデレラ」は英語であり、フランス人作家であるペローの作品としては、フランス語の『サンドリヨン町』と呼ぶべきだ。
しかしその名前だと、読者である子供達が何の話かわからなくなってしまう、という理由でとりあえず『シンデレラ町』と呼んでいる。
適当なものである。
ちなみに同じ話の町がグリム地方にも存在するが、あちらでもグリム地方シンデレラ町となっている。
ドイツ語圏のグリム地方では不自然な地名なのだが、「子供にわかりにくいから!」という大義の元に『シンデレラ町』を名乗っている。
適当なものである。
ここシンデレラ町ことサンドリヨンの町民が何をしているかというと、日々「シンデレラ」の物語を紡いでいる。
通行人Aには通行人Aの役割が、パン屋Bにはパン屋Bの役割があり、皆がそれぞれの役をこなすことで、シンデレラの物語を支えていた。
彼ら"名無し町民"からすれば "名有りの町民" は羨ましい存在かも知れない。でもそれだって役柄にもよるのだ。
私は名有り町民。ジャボットという。
シンデレラの義姉である。
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