シング ライク レイン

4/10
前へ
/10ページ
次へ
 へ?っという間抜けな返事をした僕。何の話をされたのか、すぐに理解できなかった僕は、もう一回、へ?って言ったと思います。  ちょっとの間を開けた後、彼女はぽつぽつと別れる理由を話してくれていました。彼女にはどうやら、新しい彼氏が出来たらしい、っていうことが分かりました。  僕は、出来るだけ格好をつけて、分かったよ、と言ったと思います。というのも、別れ話をされてから、彼女が僕を大洗駅に送ってくれるまで、あんまりよく覚えていないからです。  ドライブから予定していた映画も食事も、すべてキャンセルして、大洗駅に送られた僕は、走り去っていく彼女の白い車を見送っていました。  車を降りる時に彼女から、「ごめんなさい」と言われたけれど、何も感じず、「うん」とだけ答えてドアを閉めた事しか覚えていませんでした。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加