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花谷が住む「横浜」の交通事情
決して、浅はかな判断をしてしまった自分を受け入れられなかったわけではないのですが、マニュアル免許を取得したあとも、返納してしまったあとも、基本的に後悔することはありませんでした。
花谷の住まいは横浜です。2027年の花博の開催予定地である旧上瀬谷通信施設跡地の近くです。緑が多くいい場所です。富士山がよく見えるスポットも点在しています。畑も多いので、野菜の直販所もあり、ときどき農耕機が公道を走っている姿を見ることもできます。
隠すつもりはないのではっきり申しますと、いわゆる横浜の僻地と呼ばれる場所に住んでいるのです。
が、僻地とはいえ、一応、大都会「横浜」の一部であり、公共交通機関はそれなりに存在しているので、車がなくても、ことさら不便を感じることはありません。
ネット通販やスーパーの宅配サービスを利用すれば、米や水や焼酎などの重い物も運んでもらえるので、日常の買い物についても困ることはありませんでした。
ときどき犬連れで旅行にも行っていましたが、まあ、車を運転できなくても、それなりに楽しめていたので、特に不満はなかったのです。
そもそも、マイカーもありませんし、バリバリのペーパードライバーだったのですから、旅行のスタイルも返納前と返納後とで、特段、変わることもありませんでした。
車を持っていなくても免許さえあれば、旅先でレンタカーを借りるなんて手もありますが、バリバリのペーパードライバーにしてみれば、そんな危険な手段は、はなから選択肢になかったわけで……。
20年以上も前に失効してしまったパスポートしかもっていない花谷にとって、運転免許証とは、単体で身分を証明できるツールに過ぎず、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。
旅行に行くときに免許証を携帯していたのは、レンタカーを借りるためではなく、レンタル自転車を借りるときの身分証明として利用するためです。
こういった状況だったので、このまま瀬谷区に住み続けるのであれば、ふたたび免許を取ろうとは思わなかったでしょう。
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