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番外編1-1 義母と義姉
うわあ国際線っていろんな国の飛行機が止まってるんだなあ」
「なんやすぐるは海外に言ったことないんか?」
「うん。ないよ。国内線しかないんだ。いつもは新幹線だったから」
「そうか。……ってパスポートは?」
「持ってないかな……」
「ええ? 早く作っとかなあかんで」
「うん。留学までには作っとくよ」
「あかん。明日申請しに行こう。2~3週間はかかるんやで。写真も撮らなあかんし」
「そっか。僕、大学の単位を取る事でいっぱいいっぱいでそこまで頭が回ってなかったよ」
ハジメの生地制作は軌道に乗りつつある。僕は最初は藍染ぐらいしか知らなかったのだが、生地って染めるだけじゃないんだ。ハジメは糸から作り出すことが出来る。それこそさまざまな素材を繊維のようにする技術を開発して新しい布を作り出すのだ。いろんな分野の技術開発の方々もハジメの元にやってくるようになった。そのうち海外で新素材の研究をしないかという話が出だした。つまり留学だ。
最初は戸惑った。遠くに行ってしまうのを見送るのは悲しいし、待ち続けるのも寂しい。そう思ってるとハジメ父から「一緒に行っちゃえば?」と軽い口調で言われた。
「コレクションの発表に各国に行くから僕とも会えるよ。草壁は語学も堪能やし教えてもらったらどうや? マンションもいくつか保有してあるよ」
「え? 本当ですか?」
その言葉になんだか悩んでるのが馬鹿らしくなった。
「うん。単位さえ取っちゃえば別に毎日大学に行かなくてもいいんやないの? 今どきオンラインで授業や試験もうけれるんやし」
そこから必死で単位を取りまくった。どうせ大学にいるときはハジメは研究づめだったし。その代わり毎晩同じベットで寝て、週末は一緒に過ごすことにした。ハジメは週末はごろにゃん状態だ。平日あまり関わる事がない代わりに週末はべったりになった。
最初こそ慣れなくて時間がかかっていたことも朝比奈に手の抜き方や、草壁の助言で時短の仕方を覚えていった。草壁は人の何倍も勉強してまとめるの上手かった。アルファに負けない様に先手先手で動いていく。まさに努力の人だった。そのうちに僕にも時間が出来て朝比奈の仕事も手伝えるようになってきたのだ。
「そっか。すぐるの努力家のとこ、草壁さんに似たのかな」
朝比奈に言われてちょっとくすぐったい気持ちになる。まだあの人が父親って実感はないけど肉親が生きているってわかっただけでもよかった。
そんなバタバタした毎日にメールが届いた。
「大変や! 怪獣と魔女がやってくるぞ」
「……なんかわかんないけど凄いね」
それがハジメの母親と姉のことだと知った。やっと時間が空いたから僕に会いに来るというのだ。姉のほうは旦那と赤ん坊連れだ。
「どうしよう凄い緊張してきた」
「俺は今から胃が痛いわ」
国際線の到着口から人が現れ始めた。
「この飛行機かな?」
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