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「……なんか俺に遠慮してるんか?」 「どうしてわかる……の?」 「だって顔に書いてあるやないか」 「……そんなわけないやろ」 「…………」 「…………ぷっ」  くくくとハジメが笑い出す。あれ? ノリとツッコミでしょ? 何か違ったっけ? 「可愛いなあ。すぐるの関西弁初めて聞いたわ」 「か、かわいくなんかないよ。からかうならもう言わない」 「くくく。そんな拗ねた顔もかわいい。あ~もうすぐるは俺をどうしたいねん」 「どうもしたくないよ。ハジメには感謝している」 「感謝なんかせんでもいいよ。俺は俺がやりたいことをしているんやで。すぐるのほうこそ俺のわがままにつきあわせてごめんな」 「わがままだなんて。すごい助かってるよ。僕、今は一人でいるのが怖くて。こうしてすぐるのところでお世話になってるのはすごく嬉しい。……このお礼は元気になったら働いて返すから。何年かかってもきちんと……」 「そんな風に思ってたんか。悪い。もっと早くに言うべきやった。これは俺の道楽でしたことや。俺が……俺が勝手にすぐるの事を好きになって。俺がお前を手放したくないんや。手元に置いておきたいんや。今の状況はほぼ軟禁状態やで。すぐるが体調が悪いことを利用して俺の傍に囲えこんだんや。すぐるは世間知らずやから気づかんかったやろ? 俺はこんなに醜くくてズルい男なんやで。俺はお前のことが好きで仕方がないんや」 「……へ? ハジメが僕のことを? じゃあ朝比奈さんはどうなるの?」 「なんでここで朝比奈がでてくる? あいつは幼馴染やって言うたやろ?」  あれ? 僕は何か間違ったことを言っているのか? それに軟禁状態って?  「すぐる。まさかと思うが俺が朝比奈とつきあってると思ってたわけじゃないやろな」 「違うの?」 「ちっが~う! あ~そこからか! あいつは悪友や! 普段から冗談ばっかり言いあってるからすぐるにはどこからが本気でどこからが冗談なんかがわからんかったんやな?」 「えっと。そうかも」  ハジメが急に真面目な顔になりつないだ手を強く握りしめた。 「すぐる。俺はお前が好きや。これは冗談やない。俺の本心や」 「……うそ」 「嘘やない! 一目惚れやってん! お前を見た瞬間から気になって仕方がなかった。だから声をかけたんや。ずっとすぐるの事を追いかけまわして話しかけまくって俺ってストーカーじみてたやろ? こんなに誰かに執着したことなんかない。お前だけや」  知らなかった。そんなに思われていたなんて。僕って鈍感なのかな……? 「あ、ありがとう……」  そういうだけで精一杯だった。 「う……いや。その。お礼言われるとは思ってなかったわ。えっと。どういたしまして?」  なんだか急に恥ずかしくなってそのまま二人で残りの粥を食べ始めた。
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