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番外編1-2
「ハーイ! 元気にしてたぁ? ちょっとなんでそんな顔してんのよ!」
目の前に色鮮やかな衣装を着たスタイルの良い美魔女が現れた。とっても騒がしい。
「普通や。これが俺の普段の顔や」
いや、明らかにむくれてるけど? むすっとした顔になってるよ。
「はじめまして。すぐると言いま……」
「あっら~、可愛いじゃない! ちょっと何よ。あんたこんな可愛い子捕まえるなんて!」
後ろからカートを押して現れたこれまた美女とイケメン外国人。そのイケメンの抱っこひもには赤ちゃんがいた。
いきなり美女に抱きつかれ、耳元できゃーきゃーと叫ばれ耳がキーンとする。
「ちょっと何よ私より先に抱きつかないでよ!」
これまた美魔女が僕に抱きつく。
「こらこら! やめんかい。すぐるは俺のや!」
「何言ってんのよ。こんな可愛い子! やった。私可愛い弟が欲しかったのよね!」
「うんうん。ペアルックで歩きたいわ~」
「あ~それいいわね。パパに頼んじゃいなさいよ」
「いやよ。パパとは趣味が合わないんだもの」
まったくもってかしましい。出会いがしらこれまで僕は自己紹介すらさせてもらえない。
「お前らじゃかあしいんじゃ! 黙っとけ!」
ハジメがきれた。だが女性二人も負けてなかった。
「何を生意気な! 姉ちゃんに逆らえると思ってるんか!」
「あんた5歳までおねしょしてたことバラすよ!」
「そうや小学校の遠足のときおもらししたこともよ!」
「わ~!わ~!もう言うてるやんか!バラしてるやろ!やめてくれ~」
「ぷっくくくく。楽しいお母さんとお姉さんだね」
「うっわあ。何その反応。めっちゃええわ」
「ホンマや。おっとりしてて天使みたいやん」
「ええわ~。早くうちの子になって」
「そうやもう一度お姉さんって呼んでみて」
「何言うてんのお母さんって呼んで」
すっと突然イケメンが僕の傍に来た。
「ハジメマシテ。すぐるサンですね?僕はジャックです。ヨロシクオネガイシマス」
「はい。すぐるです。よろしくお願いします」
「こほん。こっちが母の翠でこっちが姉の怜華や」
「はじめまして翠お母さん。怜華姉さん」
「うんうん。よろしく頼むわ。なんか欲しいもんないか?」
「うんうん。お腹減ってないか?なんか食べよか?」
完全に子供扱いの気がする。でもまあ良いか。
「はい。喉が渇いたので何か飲みに行きませんか?」
そこから僕は怒涛の質問攻めにあったのであった。
「どこで知り合ったん?」
「告白はどっちから?」
「いつ結婚式するん?」
「まだ学生なん?何学んでるの?」
「好きな食べ物は?」
でも皆とても好意的で親切にしてもらえた。
「……ここだけの話し。私らハジメはじゅん君と一緒になるんかなと思ってた時もあるんよ」
「でもなあ、向こうには亜紀良さんがおるからなあ」
「そうそう。絶対無理、嫌って思っててん。だからすぐる君が来てくれて嬉しい」
「もちろんじゅん君が嫌いなわけはないんや。あの子も可哀そうな子で。家族やと思ってる」
「うん。すぐる君もじゅん君と仲が良くってよかったわ」
「あっとそろそろ行かな」
「え?どこかに行かれるんですか?」
「せっかく帰国したからな。ちょっと縦断旅行しようと思って」
「そうそう。今から北海道に行くねん。国内線はこっちやね?」
「は……はい。向こうです」
「ほなね。また会おうね。元気でね」
「またね。ハジメ、じゅん君泣かしたらあかんで!」
「そや! 仲良くしいや!」
「はあ……ごめんな。すごいやろ?うちの女どもは」
「まあ。でも洗礼を受けた気がするよ」
「あはは。そやな。家族やからな」
「うん。皆僕を受け入れてくれて嬉しい。ありがとう」
「こちらこそ。うるさいし大変やけど涙もろい人たちやねん。よろしく頼むわ」
「はい。まかしといて!」
「ははは」
これから賑やかになりそうだ。
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