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番外編:3-②
じゅんは袋から次々と飾りものを出してきた。
「わあ、ありがとう。へえいろんなのがあるんだねえ」
「なんやそれ?」
「ハジメはロマンがないな~。夏といえばなんや?」
「かき氷」
「いや、それもアリやけど。他にもあるやろ?」
「プール。水着。日焼け。花火」
「お?近くなってきたかな?花火といえば?」
「夏祭り?」
「そう!TANABATA Festivalや!」
「ふふふ」とすぐるが楽しそうに笑う。
「タナバタ?あ~七夕か!そういえばこっちでもそういうのがあるって聞いたことがあるな」
「西海岸のほうでやるらしいで」
「もう7/7は過ぎちゃったけどね。旧暦では8月ごろだったらしいし。ちょっとうちでもやってみたいなって思って」
「やるって……笹飾りか!」
「うん。願い事を短冊に書いて皆で飾ろうよ」
「へえ。そんなん子供の頃しかやったことないわ」
「大人になっても子供の気持ちは忘れたらあかんで」
「と言ってもこっちに笹なんかないから部屋に飾ってある観葉植物にぶら下げるんだけどね。雰囲気だけでも楽しみたいなって」
そうか、それでさっきからチョキチョキやってたのか。発想が面白い。ほんまにすぐるといると飽きない。
「これなんか紙でできたくす玉のお化けみたいだね」
「ん~。ちょっと俺らとは文化が違うからなあ。まあでも願い事を飾って星に願いをっていうのは一緒なんやないかな?」
「うん。まあ解釈が違うかもしれないけど。僕らは僕らで願い事を書いて飾ろうよ」
紙には欲しいもの。今後の夢。これからの願いなど。三人とも割と真面目に考えながら書いた。本気になって書くとなんだか楽しくなってくる。
「ガチで行くで」
じゅんの短冊には「高塚家本家からの離脱」や「顔は俺。頭脳は亜紀良さん似の子供が欲しい」と切実すぎる内容だ。
すぐるは「ハジメとずっと一緒にいられますように」と「料理が上手になりますように」などほっこりするものが多い。
「ハジメは何をかいたの?」
「俺か?たいした事やないで」
「えっと。なになに。……すぐるが健康でありますように。じゅんが自由に生きられますように……」
「な?普通やろ?」
「…………」
「…………ハジメ~!」
すぐるが抱きついてきた。
「なんやどうした?」
「くそっ、ズルいぞお前!」
ペシンッとじゅんが叩いてきた。ぽこぽことすぐるも叩いてくる。
「なんやなんや?」
「もうハジメったら。僕らは自分のことしか書かなかったのにハジメったら自分の事書いてないじゃん」
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