絵の具

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 絵の具には賞味期限がある。  開けた時が一番キレイで魅力的。  宝石のように照らすと輝くんだ。  だけど、時間が経つと茶色く色が落ちる。  オレは好きだけど、何故か皆は怖がった。  の絵の具は嫌い。  傷んだら出るかもだけど魅力的じゃないんだ。  モノとしてはいいけど。  開ける時の音が微妙かな。  あぁ、開けて何もでないのも嫌。  絵の具の香りは良いと感じる。  オレ以外の人によっては不快らしい。  それを言うと怖がられるから言わない。  人は我儘だな。  作り上げた色より良いモノが“”にあるのに。  え、知ってる絵の具じゃないって?  そうかな。オレはそうは思わないけど。  いい加減にわかってほしい。  オレがニコニコしながら話してるのに“分からない”は嫌だな。  だって、絵の具はにある。  お分かり?  あぁ、その様子だと――ハハッそうなるよね。  その顔が見たかった。  その声も聞きたかった。  でも残念。遅かったね。    それじゃあ、キミの絵の具を見させてもらうよ。  サヨナラ。あ、動かないほうがいいよ。  余計に痛くなる。  ある音に掻き消される赤い断末魔。  同時に飛び散る赤い液体。  ナイフを突き刺して流すのも好きだけど、チェーンソーで一気に斬り落とすのも悪くはない。  軽く濡れたオレと絵の具まみれのキミ。  うん、やっぱり“(絵の具)”は綺麗だ。  これ、明日の新聞に載らないかな。
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