9人が本棚に入れています
本棚に追加
翌朝、中庭で変わり果てたエイミの姿が発見された。
東屋に吊るされた鳥籠の中には、凍りつく鳥の姿があった。
そして、仕事を終え、幾日かぶりに屋敷へ戻った夫は愛するものを亡くした事実を知る。
「どうして……」
夫は涙した。
「旦那様!」
侍女が非難の声を挙げる。
主の涙は妻にではなく、鳥へと手向けられていた。あろうことか、愛しそうに、その亡骸を両手で包みこんで……。
「たかが鳥一羽に!!」
侍女は、耐え切れないと、さらに声を荒げ、主を攻め立てた。
「だから!どうして!その、たかが鳥一羽の面倒が見られなかったんだ!夫の大切なものなのに!」
奉られた妻、エイミの位牌へ向けられた夫の言葉は、いいつけを守らなかったと冷ややかだった。
最初のコメントを投稿しよう!