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「私もその考えには賛成です。ただ……」
「ただ?」
「密偵を送り込むなら何人かの方がよさそうな気はします。1人だけだと荷が重いでしょう。それに魔力量が高めのものなら工場での様子も探れるかと」
「そうだな。わかった。家臣とも話し合って具体的に話を進めていこう」
「そのように……」
その後公務に行かれるエドワード様の背中を見送った私は王宮学院へ出向きバンディ様とフレッグ教授とルネにこの事を伝えた。3人とも驚きの表情を持って私の話を真剣に聞いたが中でもルネの驚きようは半端ではなかった。
「ええ、またメイドかき集めて工場を……?」
「そう。侯爵は閉鎖するって言ってたんだけどね」
「侯爵は今はどこにいるの?」
「ベルがメイドになってからは一度も姿を見かけていないらしいの」
「そうなんだ……戻っては来てないのね」
「ベルはレゼッタお嬢様が魔力がほとんど無いのを知らなかったのよ」
「え、嘘でしょ?」
「ほんとよ。それでベルの就職先はこの国で探す事は決まったわ」
(密偵の事については言わないでおこう。まだ決まってないうえに情報が漏れたらまずいし)
密偵をカルナータカ侯爵家に出す事をルネとバンディ様に伝わったらまずい。それにまだ決まってない事だ。この2人を信用していないという事ではないのだが、それでも今伝えるのはタイミングとしては違う気がしたのだった。
「では、座学を始めていきましょうか。王太子殿下にお任せすれば大丈夫でしょう」
「そうですね。教授の言う通りでしょう」
フレッグ教授の声で座学が始まったのだった。
夕方。王宮学院から自室に戻る途中の廊下でエドワード様と再会する。
「マルガリータ、お疲れ」
「ありがとうございます。エドワード様もご公務お疲れ様です」
「ああ、そうだ。ベルの事だが一応はうちの国の修道院でシスターになる事が決まった。それに彼女の家族もうちの国が預かる事にした。今迎えに行っている」
「そうなんですね……」
このままベル達は穏やかに過ごしてくれれば良いのだが。私は廊下にエドワード様と私以外誰もいないのを確認してから密偵の件はどうなるのかと聞いた。
「ああ、決まった。なんならもう向かっている」
「教えてくださりありがとうございます」
「安心しろ。指折りの実績を持つものだからな」
すると私をエドワード様はひょいっと軽々持ち上げ、お姫様抱っこする。私がなぜいきなり?! とリアクションを返すとエドワード様は顔を赤らめながら私に軽くキスをした。
「……夕食まで抱きたい。いいか?」
「あ、はい……」
キスをされながらお姫様抱っこで廊下を移動し、エドワード様の部屋のベッドにあおむけになるとそのまま服の上から胸を揉まれながら息が出来なくなるほどの深いキスを受ける。
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