皐月紫音大賞2024結果発表

1/4
前へ
/18ページ
次へ

皐月紫音大賞2024結果発表

 こんにちは、皐月紫音大賞主催者の皐月紫音です。  この約一ヶ月の間、続いたイベントですが先日、選考が完了しました。  私自身、このようなイベントを主催したのは初めてのことで、きっかけも似たようなイベントを二人のXのFFさんが行っていて、ちょっと面白そうだなと思ったからでした。  こういうパッとした思いつきに多くの方が乗ってくれたのは本当に周りに恵まれているなと思います。  改めてありがとうございました。  皆さんにも新しい出会いがあったり、短編を書いたことで何か新しい気づきがあったり、人に読んでもらうことで発見があったり、何か実りのある一ヶ月になっていたら嬉しいです。  それでは早速、結果発表に移らせていただければと思います。  トップ3まではこちらのページで発表して、トップ3からは次のページで発表します。 批評自体は既に皆様に送らせていただいているのですが、ランキングの都合上書けなかったこともあったのと、少しだけ内容を追記させていただいた方も居ます。  また、前提として、後からこうすれば良かったよねってのは、いくらでも言えることなので、あくまで参考程度に聞いてくださればと思います。  そういう身勝手な読者の意見でも、私は実行するかは別にして伝えた方が価値があるかと思っています。    また、他の方への指摘を見て何か自分の創作にも活かせることがあるかなとは思うので、よろしければ是非最後まで見てくださればと思います。  それでは...... ■遊馬遊  作品『消えるメッセージ』 《良い点》  がっつり、文芸寄りの現代SFに少しホラーが混じった作品。  最初は、それこそ岩波文庫の古い小説にありそう(めっちゃ雑な喩え 笑)というくらい硬い文章だなという印象ですが、そこから良い意味で壊れます。笑  どう壊れるかは、皆さんの目で是非見届けてほしいですね。  私は普通の明治やガーナーのチョコレートかと思いきや、ハリーポッターの百味ビーンズ鼻くそ味を食べさせられた気分です(褒めてますからね!? 笑)    作者さんのは以前に別の作品も読んでいて、そちらは現代ファンタジーなのですが実は一番得意なのは、こういう硬めながら自由度の高い遊びの作品なのではと感じました。 《改善点》  改善点としては、視点のバラつきに違和感がありました。  絶対なルールではないですが、三人称なのか一人称なのか、はたまた神の視点や三人称一元視点なのかなど統一されると更に良くなる気がします。  と言っても、元々しっかりと基礎ができていて文章力もある方なのでそこまで大きなマイナスではなかったです。  正直に言うとトップ3に入れるかどうか迷いました。  とてもクオリティの高い作品だと思います。 ■雪里りんご  作品『隠れ鬼』 《良い点》  この時期にピッタリな夏祭りが舞台の和風現代ファンタジー少しホラー。  別作品を読んだときにも感じたことですが、ゾッとするような映写が非常に上手い。  また、読者ファーストな読みやすさを心掛けた文章と改行のスタイルも高評価できるところ。  実は、私は地の文が割と硬めで凝った表現の言い回しを使いたがるところがあるので、最近は、りんごさんの書き方から読みやすさを取り入れて改行の仕方などは特に参考にさせていただいています。 《改善点》  文章面に関しては上記のとおり高評価できるのですが、少し改善点を挙げるならば読者ファーストな読みやすさ重視の割にはルビが少なめな印象。  また、これは平仮名で良い気がするという単語も。  文章の個性で勝負するタイプの作者さんではないと思うので、得意の心霊映写などを除いては開く漢字or閉じる漢字で文章を考えてみるのが良いかも。    あともう一点、挙げさせていただくとヒロインを助けてくれた青年をもう少し活躍させても良かったんじゃないかなと思いました。    例えば、謎めいた青年と互いに少しだけ意識しているような映写を入れて、名残惜しいような別れ方にしてみるとかですかね。  これは別作品を読んだときにも少し感じたことなのですが、りんごさんは、あまりパンチの強いキャラを書かないところがあるように感じます。  今回の作品は主人公は怪現象への巻き込まれ役なので、そんなに個性はいらないのですが、その分、この青年のようなポジションのキャラクターが際立っていると良かったかなと思います。 ■津多 時ロウ  作品『雪灯り』 《良い点》  こちらも今の時期にピッタリな少しゾッとする涼しげな文芸作品。  文章と表現のレベルが非常に高く、純粋な文芸畑の人の作品だなという印象。  情景と空気感が読んでいて鮮明に伝わってきて脳内に映像が広がりました。 《改善点》  多くのウェブ小説界隈の文芸畑の方に共通することですが、ルビがそれなりに難しい漢字にも振られていないことが一点。  お恥ずかしながら私は漢字が苦手なのですが、実際に読み方わからないもの割とありました。  あと、ここばかりは好みもあるので仕方ないのですが、改行をもう少し入れた方が良い気がしたというのがもう一点。  やはり、横書きで読む以上はどうしても目が疲れます。    私的には上記二点を気を付けるだけでも、文芸ものはウェブで結構新規のラノベ層とかの人も読者として取れるようになるのではないかと以前から考えています。 ■早見羽流  作品『クラスで隣の席の美少女(ただし幽霊)がどう考えても俺のことが好きなんだが、想いを伝えると消えてしまいそうで素直に告白できない件』 《良い点》  タイトルの通り、死んだはずの隣の席の美少女同級生とのラブコメ。  内容的には目新しいものではないもののそれだけ王道の良さがあり、作者さんの安定した文章力と構成力でそれが作られているというのが推せるポイント。  最後は実はヒロインは死んでいないなんてこともあるのでは?とドキドキしながら読み進めました。 《改善点》  良くも悪くも王道なのでもう少しキャラクターによる差別化が、できていると良かったかもしれません。  例えば、ヒロインが陽キャならば思い切ってギャルっぽくしてみる。  今のままの感じで行くならばギャルグループに居ながらも周りに染まりきってもいなくて(そのヒロインの心情を描いて、そこが主人公への好意に繋がってたなどの構成でも書けそう)、誰とでもコミュニケーションを取ろうとしていたなどの事前情報を入れてみるなど。  あと、これは追記なのですが、主人公はヒロインとは生前に会話をする仲だったのに、誰も話す人が自分には居なくてのような表現が途中にあったのは小さな違和感がありました。  経験豊富で確かな力のある作者さんですので、王道作品を書かせても自分なりの強い個性と魅力を入れて差別化することができるはずです。 ■こが  作品『雨天順延』 《良い点》  真面目な高校一年生の女の子あやめさんの爽やか青春ストーリー。  物語の構想、設計は面白いと感じました。 《改善点》  高校の名前やキャラの名前に初登場時だけでもルビがあった方が良いのが一点。  あとはウェブ小説の書き方は自由というのが前提にありますが、一人称、三人称などの人称について改めて調べて学んでみることでより、クオリティを上げることができると思いました。  例えば今回の話は、誰の視点かがわかりませんでした。  三人称なのかなとも思いましたが、それにしては地の文章が話し言葉的過ぎる、高田くんの視点ならば私個人としては伝わりにくく感じました。  終盤に突然あやめさんの一人称的視点が入ったりもして少し混乱しました。  既にお読みかもしれませんが、小説の書き方系の本、特に人称について書かれた物書きさんのエッセイなど読んでみることをお勧めします。  いつもインプットに積極的で勉強熱心な方なので、土台をより固めることで小説の質はいくらでも上げていけるはずです。 ■HN紅葉  作品『心霊引越し業者 〜四十九日限定で表示される番号〜』 《良い点》  未練を残して成仏ができない魂を導く死神が主人公の爽やかな少年漫画という印象の作品。  読みやすく、爽やかな読了感のあるラストも短編としてとても良作だと感じました。  それでいて今後、長編展開もできそうなので中編長編に作り直して見てコンテストや公募などあれば、挑戦してみても良いかも? 《改善点》  改善点を挙げるならば、あくまで好みですが、小さなところでは死神のカマなどは漢字の方が見栄えが良いかなと。  あとは例えば上司の死神を魅力的な女性キャラなどにして登場させてみるのもありかなと思いました。  文章量を考えると調整が必要ですが、その上司との掛け合いを幽霊と戦ってる最中に入れたりとかですね。 ■柚月ひなた  作品『神霊夢想奇譚』 《良い点》  女性向けのライトノベルらしい和風ファンタジー。  元々は長編を想定していたというだけあり、これはあくまでも始まりに過ぎず、更に奥深い設定が作り込まれているのだろうなというのが作品からも伺えます。  以前に読んでいる別作品と比較しても、短編というのもありますが映写すべきもの絞られ、元々文章力自体が高い方なので全体的に洗練されている印象を受けます。 《改善点》  上記のとおりクオリティはとても高いのですが、この部分だけで読ませると考えると設計が惜しいと感じます。  特に大切な最後は少し駆け足感がありました。  一定の文量で終わらせる必要のある作品は、公募にそれこそ出すつもりで書くのが良いと思います。  長編としても続けられるけど、この部分だけで終わっても良いんだ、続きは書けないかもしれないんだというつもりで書けば、その中で綺麗に完結する設計になっていくかと思います。  あとは、これは本当に好みの問題で私自身が抵抗ある側なので、あまり強くもお勧めできないのですが、【モフモフ】などのパワーワードが入っているので、それを中心になろう系タイトルにしてしまうのもありかなと思いました。  めっちゃ適当なので参考にしないで良いのですが例えば・・・ 『もふもふ神霊夢想奇譚〜金色の狐の妖少年を拾ったら懐かれて離れてくれないのですが、可愛いので私が絶対に守り抜きます〜』  それでは次のページからは、いよいよトップ3の発表になります!!
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加