0人が本棚に入れています
本棚に追加
『ごめん』とか『こっちが悪かった』とか、もうどうでもよくて。
あたしは善三の片手を掴んだ。
「あたしもペンギン見たい!」
「うん、もしかしたらまだ動いてないかも」
「なにそれ」
「大きなペンギンが一羽だけ、空を見上げたままなんだよ」
「みたい!」
「うん!ところで」
「なに?」
「服と帽子、すごく似合っててカワイイ」
「うそ!」
「うそじゃないよ、なんかもうゾウより鼻の下が伸びてる」
雲の切れ間から光が差して。
照れてる顔を善三に見られたくなくて。
あたしは帽子を深くかぶって、また一緒に歩き出した。
━━━━完━━━━
最初のコメントを投稿しよう!