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【出発】
私もひずえとお揃いのTシャツと
CWUジャケットを着込んでいる。
愛妻とお揃いコーデである。
「ちょっと今朝は肌寒いわよね、
いっくんは暑がりだから大丈夫か」
そんな、たわいもない会話をしながら、
玄関へ進む。
急に、ひずえが踵(きびす)を返す勢いで、
一番奥のダイニングへ駆け戻って行った。
「はい、大丈夫、
閉めた、閉めた、
切ったー」
各所、ちゃんと閉まっているか、
いつもの確認だ。
「昨夜から開けていないから
大丈夫でしょー」
「一応ねぇー」
玄関ポーチまで戻って来たひずえは、
靴を履くようの横長の腰かけに、
ちょこんと座って、
ヒールを履いている。
「あっ、セコム忘れたぁー、
届かないーー、
いっくん、セコム入れてー」
「わかった」
[ピッ♪、セコムがセットされました♪]
「セコムセットしたから、早く出るんだーー」
2人して、追い出されるように玄関から飛び出す。
早朝の閑静な住宅街。
セコムに追い立てられた我々と、
この閑静な静けさがアンマッチで、
何故か笑える。
「何、私達焦っているんだろね、
面白いね」
「ほんと、セコムはビビるわーー」
玄関横から、
数段降りた所に車庫の大きな扉がある。
この扉もセコム対象なので、
2人して車庫に飛び込んだ。
車庫の道路に面した自動開閉扉はセコムを
設定していないので、ここまでくれば
大丈夫である。
車庫の中では、
一番広いスペースが、
ひずえの車のスペースである。
ひずえには、停めやすく、
広い場所を使ってもらいたい。
私のスペースは、ひずえの横で、
車やオートバイが、狭い場所と、
ぎゅっと詰め込まれて配置されている。
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