1人が本棚に入れています
本棚に追加
辺りが元のように明るくなると大会スタッフの方から、
「女子シングルスの決勝戦が始まります。
コートにお願いします。」
と声をかけられ、私は決勝戦のコートに向かった。
私はさっきまでの緊張がうそのようになくなっていて、冷静さを取り戻していた。
女子シングルス決勝戦開始のホイッスルが鳴ると、私は冷静に相手選手の動きやボールを見ることができていた。
女子シングルスは孤独な戦いだと思っていたけれど、何故か私はすぐ近くに実の母がいるような感覚を持ちながら戦っていた。
やはり決勝戦だけあって、対戦相手からは何か大きなオーラが出ているような威圧感のようなものがあったけれど、それでも私は絶対負けないという強い気持ちで試合に臨んでいた。
1セット目は接戦でゲーム数4対6で取られたけれど、2セット目は何とか相手選手の戦い方が見えてきたような感じがして、球筋の読みが当たってゲーム数6対2で取り返した。
最終セットの3セット目は、お互いに一歩も譲らない試合展開でシーソーゲームのようになったけれど、ゲーム数5対5のジュースから私が1ゲームを取って6対5となった。
次のゲームもお互いに気迫のこもった試合展開だったけれど、何とか競り勝って最終的に3セット目はゲーム数7対5で勝つことができて、私は決勝戦を勝利した。
私は全国大会に出場できただけでなく、女子シングルで優勝できることは想像していなくて、とても嬉しくて満足した。
会場の観客席には里親の母が応援に来てくれていて、私は観客席まで行って里親の母に抱きついた。
すると里親の母が、
「璃彩、よく頑張ったね!」
と私の頭をなでながら言葉をかけてくれた。
私は嬉しさのあまり、涙が溢れて止まらなかった。
決勝戦のこの日は、私にとって忘れられない1日になった。
最初のコメントを投稿しよう!