民俗学者桜田民子の現地探訪録~時の糸~

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「一体何をしようというのかね? ビリビリの―――」天狼は嘲笑を浮かべる。  団三郎は隠神刑部に言われたことを思い出していた。序列は気にすることはない。それは流転するもの。ビリビリというのはビリッけつのビリの意ではない。今はまだそれがなんと表現して良いものかわからぬものゆえ、ビリビリという擬音語で表現しているということを。  しかし、現代まで生きてみてわかった。ビリビリとは電気。電気とは即ち無限の可能性を生み出すエネルギー。昔にはなかった概念。それは火の特性をもった眷属たちに匹敵―――いや、それすらも凌駕する可能性のあるもの。 「団三郎! 繋げたよ!」ああ、わかる。身体は失ったが魂に宿る力を。これが電気というエネルギーなのだ。八百八の眷属の中で自分だけが持つ能力。 「いくぞな! 100万ボルト!」ああ、それはいろいろと問題のある技名だ、と民子が止める間もなく、かみなりの一閃が天狼を貫いた。
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