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街外れの丘に白で統一された真新しい建物があった。
咲が通う私立の高校である。周囲は緑の木々に覆われ、より一層建物の白さが際立っていた。
一本道の林道を蛇行して登り切った丘にその高校はあった。
正門で生徒達が行き交う中、少し離れた場所で八雲は車を停めた。
「叔父さん、ありがとう」
咲は助手席から出るなり、八雲に手を振って学校の正門へと入って行った。
突然、彼女の左手首に細かい振動が走ると、咲はスマートウォッチに目を向けた。
アルファベットの暗号文が表示され、四桁のパスワードを要求していた。
咲は周囲を用心深く伺いながら、スマートウォッチを操作した。
ログインに成功すると、画面が開示される。
"α(アルファ)、校内に危険因子、γ(ガンマ)が存在する。γ(ガンマ)の情報を送る。本日零時までに削除せよ!"
彼女はその画面情報に目を通すと、次第に獲物を狩る肉食獣へと目付きを変貌させた。
「咲!怖い顔してる。朝からヤバすぎ!」
咲の背後から抱きついて来たのは、友達でありクラスメイトの宝城夏実(ほうじょうなつみ)である。
小柄でショートカットの童顔だが、夏実の胸の感触は大いにあった。
"相変わらず巨乳で羨ましい"
咲は背中に当たる胸の感触で、夏実だと分かった。
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