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階段には、沢山の砂が積もっていて歩き辛い。
昨日の強風で積もったようだ。
不安定な階段を歩く真子に、拓が手を差し伸べた。
「ほら...掴まれ」
「ん、ありがと...」
真子はそう言って拓の手を握る。
二人は手を繋いで階段を降りると、そのまま波打ち際へと歩き始めた。
そこで真子は気になっていた事を聞く。
「サーフィンはここでやるの?」
「いや...辻堂の方だよ。涼平さん達は辻堂がホームグラウンドなんだ」
「辻堂の方にはあまり行った事がないわ...」
「そうなんだ。今度行ってみる?」
「えっ?」
「俺がサーフィンやってるのを見においでよ。バスならすぐだろう?」
「うん......そうだね......」
真子は少し驚いていた。
まさか、サーフィンをしている友人を見に、
辻堂まで行く事になるとは思ってもいなかったからだ。
拓が本気で言っているのか社交辞令で言っているのかが分からないので、
真子は当たり障りのない返事をする。
しかし、もしそれが可能ならば、
真子は拓がサーフィンをしている姿を見てみたいとも思った。
でも一人ではきっと行けないだろう。
友里を誘えば一緒に行ってくれるだろうか?
そんな事を考えていると、ふいに拓が言った。
「宮田さん、俺と付き合わない?」
「______!」
真子は何も言えずに黙ってしまう。
そして、少し冷静になってから聞いた。
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