3867人が本棚に入れています
本棚に追加
/211ページ
「ハッ? 付き合った事もないのにどうして分かるんだよ」
「だって男の子ってそういうのないと駄目でしょう?」
「そんな事ないよ。俺は大丈夫だよ」
「本当?」
「ああ。だから頼む! 俺と付き合ってくれ」
拓はそう言ってひざまづいて右手を真子に差し出した。
まるでプロポーズのような姿勢だった。
その時、可愛い子犬を連れた上品な婦人が、
「頑張って下さい!」
と拓に声援を送る。
「ありがとうございますっ」
拓はその婦人に対し、ニコニコしてお礼を言った。
そんな拓を見て、真子は思わずクスクスと笑い始める。
そこで拓が再び言う。
「宮田さん、お願いしますっ!」
拓は今度は手を伸ばしたまま頭も下げた。
すると今度は通りかかった男性サーファー二人が、
「男子高生、頑張れっ!」
「健闘を祈るっ」
と拓に向かって次々に声をかけた。
思わず真子の頬は赤く染まる。
「分かったわ」
そう言って、拓の右手を掴んだ。
「ひゃっほーいっ!」
拓の叫びを聞いたサーファーの男性二人は、笑顔で振り返ると、
「やったな、男子高生!」
「おめでとう!」
と笑顔で盛大な拍手を送ってくれた。
最初のコメントを投稿しよう!