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「じゃあ今日から俺達は恋人同士だ。いいね?」
拓は優しい微笑みを浮かべていたが、
その瞳の奥には、一途でまっすぐな気持ちが潜んでいた。
吸い込まれそうなほど美しい拓の瞳を見ながら真子は頷く。
「はい。よろしくお願いします」
「よしっ、本日の目標達成!」
拓はそう呟くと、真子と手を繋いで波打ち際をぶらぶらと歩き始めた。
まばゆいほどの午後の日差しの中、
二人は他愛のないお喋りをしながら砂浜を歩き続ける。
途中、薄ベージュの大きな貝殻が波に洗われているのを見た拓は、
その貝を拾った。
「デカいな」
「うん。でも綺麗な形。なんていう貝だろう?」
真子がそう言うと、拓がすぐにスマホで調べ始める。
「『テングニシ』っていう貝らしい」
「てんぐにし?」
「そう」
「完璧な形で残っていてすごいね。私もらってもいい?」
「もちろん。では、カレシからカノジョへの初プレゼントの贈呈です」
拓はそう言うと、仰々しくその貝を真子に渡した。
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