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「ありがとうございますー」 真子もうやうやしく受け取る。 そしてその大きな貝殻を耳に当てた。 「あっ、聞こえる......」 「海の音?」 「そう......聞いてみて」 真子はそう言って拓の耳に貝殻を当てた。 「うん、聞こえるな...」 「でしょう?」 真子は嬉しそうに笑うと、もう一度自分の耳に貝殻を当てた。 その優しい海の音色は、真子の心を安らかにしてくれる。 (私、とうとう彼氏が出来たんだ......) まさか自分が校内一の人気者の彼女になるとは思ってもいなかった。 その優しい音色を聞きながら、真子はその事を実感した。 ふと見上げると、青い空にぽっかりと白い月が浮かんでいる。 その月を見ていると、なんだか自由になったような気がした。 繰り返し押し寄せる波は、 今ここで誕生したカップルを祝福するかのように、 優しい波音を奏でていた。 頬を撫でる風はどこまでも優しく心地良かった。 二人が歩くすぐ傍の海面を、海鳥たちがかすめていく。 (私はこの景色を一生忘れない......) 真子はそう思いながら、 拓と手を繋いだまま笑顔で砂浜を歩き続けた。
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